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作成者:

Eric Bobrow

作成日:

2008-03-20

ArchiCADバージョン

• ArchiCAD 11
• ArchiCAD 10
• ArchiCAD 9

プラットフォーム:

• Mac OS X
• Windows

対象:

• 新規ユーザー
• 標準ユーザー
• 上級ユーザー
• CADマネージャー

参照番号:

• [tracking number]

ArchiCADバーチャルトレース: BIMへの強力な糸口

発表原文はAECBytes: http://www.aecbytes.com/tipsandtricks/2008/issue28-archicad.html

Eric Bobrow, Affiliate AIA Principal, Bobrow Consulting Group


ArchiCAD 11で、グラフィソフト社は強力で革新的なテクノロジーである バーチャルトレース ™ を発表した。設計者に親しまれてるトレーシングペーパーの考え方に似ており、全ての図面やビューをその他のビューの上や横に重ねることができる。このコンピュータ内の「トレース台」は驚くほど有用で、様々な状況で使用して情報の管理を簡素化し設計過程を迅速化する。さらに、これは改革的な糸口となり、各種2Dおよび3D手法を組み合わせて運用でき、設計事務所内およびコンサルタントとの、2D CADから3D BIM (ビルディングインフォメーションモデリング)への移行を簡単にする。

バーチャルトレースの単純な利用方法は、同じプロジェクト内の1つのフロアと別のフロアの平面図を重ねること(以前のArchiCADバージョンの参照フロア機能に似ている)。これにより、設計者はフロア間の要素の関連を検討して調整することが可能になるので、壁だけでなく設備や構造なども正しく重なっているかあるいは整列しているか確認できるようになる。例えば、以下の画像では2階の下にバーチャルトレース参照として1階が水色で表示されている。

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しかし、バーチャルトレースは単なる参照フロアではない。例えば、同じウィンドウ内で、立面図や断面図を平面図の隣に、あるいは2つの立面図や断面図を並べて表示することができる。他のBIMアプリケーションのように、個別のウィンドウで2つの関連するビューを確認するよりもはるかに強力であり、参照を使用して他のビューの要素を整列、スナップ、測定、設定を取得することもできる。以下の画像は立面図参照として平面図を表示している。ここで注目したいのは、立面図の破線参照線を使って2つの階の要素を整列していること。

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ユーザーは2つの関連ビューを簡単に行ったり来たりでき、立面図を変更すると平面図が瞬時に更新されるのを確認できる。平面図や立面図など、プロジェクトのライブビューで作業でしながら、配置されているレイアウトを確認して調整できる。バーチャルトレースにより、1つのレイアウトの図面を別のレイアウトの対応する図面と整列することが簡単になる。

バーチャルトレースパレットにあるダイナミックな図面比較機能では、以下のような2つの図面の関連や差異を分析する様々なオプションがある:

外注図面との整合を図っている例が以下の画像で示されており、構造設計のDWGファイルが平面図の下に参照として使用されていて、上部半分が比較線で分けられている。

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どちらかの図面の透過率や配置方法をインタラクティブに変更することで、微妙な関係性を視覚的に確認できる。例えば、比較線をスライドして1つの図面上で別の図面をはがすように表示できる。図面情報が複雑で見逃されてしまうような差異も簡単に識別でき修正したり必要な作業を行うことができる。

他のBIMプログラムとは異なり、ArchiCADは常に自由度の高いプロセスを可能とし、「全てを3Dで作成する」ような必要はない。必要であれば、3Dモデル情報を2Dで再現して、精度の高い高品質な図面を作成できる。

バーチャルトレースにより、このようなハイブリッド手法(3Dモデルで2Dドキュメントを生成し整合性を取る)がさらに簡単に管理できるようになった。これはあらゆる規模の設計事務所で2D CADから3D BIMへと自分たちの必要に合わせて移行できるようになり、革命的な糸口となる。

バーチャルトレースの基本

バーチャルトレースの有効化と制御方法についての基本説明から始める。全てのインターフェースオプションについてのさらに詳細な説明については、ArchiCAD 11リファレンスマニュアルを確認のこと。

バーチャルトレースを有効にする最も簡単な方法として、プロジェクト一覧で必要な平面図断面図立面図を右クリックして、[参照として表示]を選択する。

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参照は、ツールバーにある[参照]ポップアップメニューのコマンドで制御できる。

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[参照]浮動パレットを使ってインタラクティブに機能を制御するほうが簡単である。すでに説明したように、ポップアップメニューから参照を選択して機能豊富でコンパクトなパレットを開くことができる。以下の画像で参照パレットの各オプションを確認のこと。

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参照が有効の場合、現在の編集ウィンドウ内で、現在のビューの要素の下あるいは横に内容が表示される。参照要素にスナップしたり設定を取得することができるが、参照として表示されている際は選択したり編集することはできない。参照の要素を選択したり編集しようとすると、[この要素はこのビューでは無効です]というメッセージが表示される。

ポップアップメニューを使って、参照現在の要素の色を、単色や元のペンカラーなど自由に設定できる。参照と現在の図面のスライダで、透過つまり画像の表示濃度を変更可能。参照図面で表示されるものを見やすく簡略化するために、右側の中央にあるポップアップを使って寸法、テキスト、塗りつぶしなどのカテゴリを隠すこともできる。

上部左のボタンを1回クリックすれば、参照を無効にしたり有効にすることができる。また、上部ポップアップメニューで最近の参照ビューを選択したり、その下のボタンで移動、回転、デフォルト位置に復帰、再構築(リフレッシュあるいは更新)もできる。上部左の切り替えボタンをクリックすれば、参照を現在のビューに、現在のビューを参照に切り替えが可能。

パレットの下部にある比較表示コントロールで参照を簡単に分析できる。一時的に横に移動、現在の要素の上に表示、比較線でウィンドウを分割して図面をめくるように表示、塗りつぶしを透過にして隠れた要素を表示することが可能。

各コントロールの効果を学ぶには、試してみるのが一番。簡単にそして楽しく試すことができ、すぐに理解できる。さらに、グラフィソフト社ではバーチャルトレースについての興味深いビデオデモも用意している: http://www.graphisoft.com/products/archicad/ac11/action/ (英語)

チップ: ビュー一覧からビューを選択して参照としたり、プロジェクト一覧で項目を選択できる。ただし、現在のウィンドウと異なるレイヤーが表示されているビューを参照すると、ArchiCADは2つの異なるレイヤーセットを計算し表示するので、再描画やナビゲーションが遅くなることがあるので注意。可能な限り、プロジェクト一覧から参照を選択して、現在のウィンドウと同じレイヤーを使用したビューポイントを表示する。

豊富な強み

バーチャルトレースの活用方法は無限大だ。BCG社で行っているArchiCAD 11へのアップグレードユーザーの勉強会では、様々な活用方法についての検討に定期的に2時間以上費やしているが、その可能性が出尽くすことはない。

ここにバーチャルトレースの活用方法の例を挙げる:

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チップ: プロジェクト一覧の各ビューポイントは最後に使用した5つの参照を覚えている。参照パレットの上部のポップアップメニューから選択可能。特定のビューポイントはこのリストに自動的に追加される。例えば、平面図を見ているときは、1フロア上、1フロア下、最後のフロア(最後に表示したフロア)がリストされる。あるいは、展開図を見ているときは、同じ部屋の展開図がクイック参照としてリストされる。

ワークフローを改善し、BIMへ簡単に移行

グラフィソフト社のバーチャルトレーステクノロジは、事務所内のワークフローに革命的な変化を与え、ビルディングインフォメーションモデリングへの移行を簡略化する。全ての関係者が、それぞれの能力あるいは必要情報が主に2Dであったとしても、BIM環境に積極的に参加できる。さらに、完全にBIMプロセスに移行していない協力会社からの図面も、より簡単に整合性を図ることができる。

事務所内および意匠設計と構造設計間などのワークフローや関係者のつながりに関する新たな可能性についても言及しておこう。以下の画像は4つの代表的な役割を表しており、それぞれ複数の担当者で構成されている。

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意匠設計者は、主要なデザイナーであり決定権を持っている。このシナリオでは、意匠設計者は3DデザインをBIMモデルとして作成できる人物とする。

最初の例ではデザインワークフローが関係しており、意匠設計者は3D BIMではなく2D CADを利用している施工設計者と協力することになる。ArchiCADでは、デザイナーは従来の2D CADと同様の方法で平面図を効率よく作成でき、空間設計、プログラム、構造の詳細を調整する。詳細なモデルを作成しなくても、バーチャルトレースを利用すれば平面図と断面で行った変更を簡単に確認できる。以下の画像では、断面を下に参照しながら、平面図で矩形選択された部分の変更を行っている。

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バーチャルトレースは、意匠設計者と構造や設備設計者のコーディネートワークフローも改善する。以下の画像の例では、構造図面が意匠図面の上に表示されており、右側の比較線で図面をめくることにより、D124とあるドアの変更をはっきりと示している。1つの図面の赤い壁がもう1つの図面の黒い壁と整列していないことに注目してもらいたい。構造設計者は2D CADで作業しているかもしれないが、DWG情報とArchiCADのバーチャルビルディングの整合性を図ることも負荷とはならない。

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バーチャルトレースは、意匠設計者と実施設計者間のドキュメントワークフローも改善し、高品質な設計図書を作成できる。バーチャルトレースを利用して、詳細な実施図面の最終段階であっても、3Dモデルを最新の状態にして整合性を図ることができる。

最後の例では、実施設計者がモデルのコピーを編集して詳細な断面を作成している間も、モデル断面図が最新の状態に保たれている。階高の変更などデザインに変更があっても、モデルとの整合性を図ることで詳細な断面図の更新が非常に簡単になる。この画像では、図面の一部を比較線でめくっている。下の階は正しく一致しているが、上の階が修正されたモデルと一致していないことが分かる。

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実施設計者は、モデルを変更することなく2Dワークシートで最終的な断面図を編集でき、モデルを参照して確認および精確に調整ができる。

グラフィソフト社は、以上の例や設計事務所の役割やその内部でのワークフローに与える可能性を分かりやすく紹介する素晴らしいショートムービーを用意している。http://www.graphisoft.com/products/archicad/ac11/ へ移動して、ページ上部の画像リンク「Virtual Building & Virtual Trace」をクリックすれば見ることができる。

まとめ

バーチャルトレースは、バーチャルビルディングの利点と複雑なプロジェクトの詳細図面の作成に必要な自由度を兼ね備えたワークフローを提供する。デザイナーからCAD担当者までプロジェクトの関係者全員をBIMに関係させることができ、ここの能力を最大限活用することができる。デザインワークフローと生産性を改善し、同時に整合性の取れた高品質のプロジェクトを仕上げることが可能になる。

バーチャルトレースは、グラフィソフト社がArchiCAD 11で開発した独特で革命的な技術である。デザイン、ドキュメント、整合性管理の全ての面において利用できる。これは、グラフィソフト社が従来の考え方(この場合、トレーシングペーパー)を継承し、それを再分析し再開発することで芸術とも呼べる状態にまで再定義することの良い例である。バーチャルビルディングの先駆者、最初のBIMソフトウェアは、今もその限界に挑戦し続けている。

この記事に関するご意見ご質問は、article@bobrow.com までメールを送ってください。皆様のご連絡お待ちしています。

著者について

Eric Bobrow氏は、ArchiCAD販売店であるBobrow Consulting Group (BCG)の社長で、1989年よりArchiCADの利用者および教育者です。BCG社は米国カルフォルニア州ロサンジェルスおよびサンラファエルを拠点とするグラフィソフト社プラチナVARで、過去数十年、米国内販売店として上位5位内の成績を上げています。BCG社は、ArchiCADユーザー向けのプロジェクトスタートアップキットである「ArchiCAD MasterTemplate」の作成者です。詳細は http://www.archicadtemplate.com をご覧ください。

カテゴリ2D図面

技術情報/バーチャルトレース-BIMへの強力な糸口 (最終更新日時 2009-04-23 01:11:06 更新者 KazuoHamaji)